PR
スポンサーリンク

「虚実」とは? 孫子の戦略と空手の智慧

孫子イメージ 哲学と理念
孫子のイメージ図
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

孫子の戦略

孫子は、紀元前500年頃の中国春秋時代に生まれ、呉国で武将・軍事思想家として活躍しました。彼は兵法書『孫子』を著し、戦略・戦術を幅広く体系化しました。『孫子』は戦争だけでなく、ビジネス、経営、政治など多岐にわたる分野で活用され、最も影響力のある兵法書の一つとされています。

「虚実篇」の思想

『孫子』の中で特に注目されるのが、「虚実篇」です。ここでは戦略の要諦を「虚」と「実」の概念に結集させています。孫子は、「虚」は敵の不十分な準備や堅固でない防御を指し、「実」は敵の十分な準備や堅固な防御を表しています。彼は主導権の重要性を認識し、敵を自分のペースに引き込むことを奨励しています。敵の状態に応じた巧妙な行動を通じて、戦略的に攻撃し、「実」を避けることが肝要とされています。

空手の智慧

船越義珍の訓示にも「虚実」あり

空手においても、孫子の「虚実」の思想が受け継がれています。空手の流派「松濤館流」の開祖である船越義珍の訓示「松濤館二十訓」(下写真)の14番目の訓示には、「戦は虚実の操縦如何に在り」といった言葉があります。戦いにおいては、相手の動きや意図を読み取り、虚実を巧みに使い分けることで、勝利を収めるという意味を表しています。 

松濤館二十訓
松濤館二十訓   Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

また、空手道では「妙は虚実の間にあり」という言葉もよく聞かれます。空手に限らず武道の世界では広く知られている教訓の様です。「妙」は優れた技や技巧、真髄を指し、「虚実」は虚構と現実、見せかけと真実を表しています。この言葉の意味も同様に相手の動きや意図を読み取り、虚と実を使い分けることで相手を欺き、勝利を収めることを指しています。 わかりやすく言えば、虚実とはいわゆる「フェイント」のことだと理解できます。

空手家は相手の動きを冷静に観察し、「虚」の状態を見極める必要があります。攻撃においては、相手が無防備な「虚」の状態にある際に効果的な技を仕掛け、相手を欺くことが求められます。一方で、相手が堅固な構えや守りを見せる「実」の状態にある場合には、無駄な攻撃を避け、巧妙な動きで相手を出し抜くことが肝要です。

心の在り方と技の調和

「虚」は「空虚」=「無」と解釈できます。興奮していたり、意識が強すぎる状態で攻撃を仕掛けると、相手に容易に見破られてしまいます。冷静で無心に近い状態で相手に対峙し、虚から実への動きを瞬時に切り替えることで、相手に攻撃の意図を読まれずに効果的な一撃が実現できるのです。
この心の在り方を徹底的に修得することで、空手家は相手を翻弄し、自らの技の威力を最大限に引き出すことができるでしょう。

虚実イラスト

結び

空手の戦術においても、孫子の戦略が有益な教訓となっています。技術だけでなく、心の在り方や冷静な対応力が空手の戦いを高める鍵となっています。虚実の使い分けや、臨機応変の絶妙なバランス感覚により、相手を欺いて的確な打撃を与えることができるのです。孫子の戦略と空手の智慧が交わり、強靭な武道の道を切り拓くのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました